衆院での消費増税法案採決を前にして、政局の緊張感が高まっています。  野田首相は25日、国会内で開催された民主党代議士会で挨拶し、法案への賛成を訴えかけました。  その理由として、「(増税を)先送りをしたならば、この国

6/26 解散・総選挙の前に

 衆院での消費増税法案採決を前にして、政局の緊張感が高まっています。

 野田首相は25日、国会内で開催された民主党代議士会で挨拶し、法案への賛成を訴えかけました。

 その理由として、「(増税を)先送りをしたならば、この国は持ちません。いま大事なことは、この待ったなしの状況の中で、しっかりと結論を出すことであります。国難から逃げるんではなくて、国難に立ち向かう」と述べていますが、間違った結論を出せば、それがかえって国難を呼ぶことが理解できないのが愚かというほかありません。

 幸福実現党からのプレスリリース「消費増税に関する3党合意を受けて」でも書きましたが、増税で経済が低迷すれば、相対的に高成長を続ける中国とそれだけで力関係で不利になるばかりか、税収の減少から国防も充実させ難くなって、他国からの侵略を容易にしてしまう“効果”もあります。正しくは「増税をしたならば、この国は持ちません」であり、「増税で国難を作り出すんではなくて、経済成長と国防強化で国難に立ち向かう」と言わなければなりません。

 今回の政局で最大の関心の的は、消費増税法案採決をきっかけに民主党を離党し新党を結成する衆院議員がいったい何人になるかでしょう。これが54人以上となれば、民主党政権は少数与党に転落し、理屈の上では、野党が連携して内閣不信任案を提出・可決すれば、解散・総選挙はいつでも可能となります。

 そのため、消費税増税法案が参院も通過して成立が見込まれる8月上旬に衆院解散、総選挙は9月9日投開票という見通しを立てる報道も見受けられます。渦中の人である小沢一郎氏自身も、9月にも選挙はありうるという発言をしています。確かに、一日も早く民主党政権を終わらせるという意味において、解散・総選挙を急がなければならないのはその通りでしょう。

 しかし、「いま大事なことは、この待ったなしの状況の中で、しっかりと結論を出すこと」で、何の結論かと言えば、「一票の格差」で違憲状態が続いている衆院選挙制度の改革についての結論です。

 違憲状態のまま総選挙に突入すれば、そこで選ばれた議員も、それによって成立した政権も、そもそもが憲法違反の存在となってしまいます。選挙の後で最高裁から違憲判決が出たのであれば「これから是正する」という言い訳も成り立ちますが、違憲状態と指摘されたにも拘らず、これを改めずに政局を優先して解散・総選挙を行えば、法の下の平等や三権分立による権力の抑制均衡を定めた憲法を無視して、自分たちの都合だけで国政を壟断したことになります。次の政権がどのような勢力によって担われたとしても、憲政上の正統性は十分に確立できません。

 したがって、「一票の格差」問題に結論を出さずして、野田首相が解散・総選挙を決めたり、連携して多数を占めた野党が内閣不信任案を提出したりすることは、一種の「憲政の常道」に則って、慎まなければなりません。

 現在、衆院選挙制度改革に関しては、民主党が小選挙区で0増5減、比例定数で40減とし、比例代表のブロック制を廃して全国区に変え、新たな比例定数140の内35を連用制とするという法案を提出しています。これに対して自民党は小選挙区0増5減のみを行う案を主張しており、特に連用制導入には反対。公明党は民主党案に賛意を示していないもの、連用制導入については一定の評価ができるとしています。

 今後、与野党間でどのような議論がなされるにせよ、選挙制度改革は今国会会期中に必ず結論を出さなくてはなりません。ただ、小選挙区の0増5減を行うために、今国会で衆院選挙区画定審議会設置法を改正しても、「その後、選挙区画定審議会が勧告を取りまとめ、必要な法改正を実施し、その周知期間を見込むと数カ月から半年はかかる」(6/22付日経新聞)と見られています。

 これを踏まえて、「数ヶ月から半年」を仮に3ヵ月と措いて考えれば、7月に法改正が成立したとしても、解散が可能となるのは10月以降で、総選挙は11月以降となります。

 小沢新党が衆院で54人以上を確保し、民主党政権が少数与党になったとしても、野党は直ちには内閣不信任案を提出せず、選挙制度改革に取り組む自制心が必要とされますし、マスコミもそれを促すべきです。まかり間違っても、早期解散を煽って政治家に「憲政の常道」を踏み外させ、この国の行く末に大きな禍根を残すようなことをしてはなりません。

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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