小保方氏「不正認定」と「検証実験参画」は矛盾する  昨日6月30日付の日経新聞朝刊は、英科学誌ネイチャーが理化学研究所の小保方晴子氏らのSTAP細胞論文を週内にも撤回する見通しだと報じました。  これにより、画期的な新発

7/1 STAP論文撤回――理研は小保方氏「不正」認定を撤回せよ!

小保方氏「不正認定」と「検証実験参画」は矛盾する

 昨日6月30日付の日経新聞朝刊は、英科学誌ネイチャーが理化学研究所の小保方晴子氏らのSTAP細胞論文を週内にも撤回する見通しだと報じました。

 これにより、画期的な新発見として注目を集めた小保方氏らの研究成果が一旦白紙となります。

 一方、理研は同日、小保方氏がSTAP現象の検証実験に参画することを正式に発表しました。

 併せて、4月以降に提起された、STAP論文への新たな疑義についての予備調査を開始し、既に決定済みの「研究不正」に対する懲戒委員会の審査を一旦停止することも明らかにしています。

 STAP現象を再現させるには「コツがある」とする小保方氏が直接加わらなければ、STAP現象が真実かどうかは確認できないのですから、同氏の実験参画は歓迎すべき決定でしょう。

 しかし、それであれば理研は小保方氏の研究不正認定を撤回すべきです。

 というのも、研究不正認定と検証実験参画は根本的に矛盾するからです。

 文部科学省科学技術・学術審議会の特別委員会がまとめた「研究活動の不正行為への対応のガイドラインについて」においては、

 「不正行為は(中略)科学そのものに対する背信行為であり、(中略)絶対に許されない。また、不正行為は、研究者の科学者としての存在意義を自ら否定するものであり、自己破壊につながるものでもある。これらのことを個々の研究者はもとより、研究者コミュニティや大学・研究機関、研究費の配分機関は理解して、不正行為に対して厳しい姿勢で臨まなければならない」

 とされており、小保方氏が不正行為に手を染めたのであれば、同ガイドラインの趣旨に則って、理研はその背信行為、自己破壊行為に対して厳しい姿勢で臨まなければならず、すなわち懲戒解雇やこれに近いレベルの処分を下し、同氏を事実上、科学界から追放しなければならないはずです。

 にもかかわらず、小保方氏を実験に参画させるというのは、これとはまったく正反対の対応です。

 このことがより明確になるのは、検証実験を通じてSTAP現象が真実であるという結論が得られた時です。

 小保方氏は研究不正を働いたが、その研究の結論は正しいものであった、というのであれば、その「研究不正」とはいかなるものなのでしょうか?

 科学そのものへの背信行為を含んでいる研究が新しい科学的な真実を発見する、ということが果たしてありうるのでしょうか?

 矛盾がはっきりと露呈します。

 これが意味するところは、小保方氏への「研究不正」は現時点でまだ結論付けられる段階にはなく、そのような認定は下すべきでなかったということです。

 仮に不正を認定するにしても(以下に述べる理由により、不正認定は不当と考えていますが)、小保方氏参加の検証実験で再現性がまったく認められないという結果が出てからにすべきだったということになります。

 

「悪意」の拡大解釈という“離れ業”

 前々回の当ブログ記事(bit.ly/1h4EDn9)でも指摘しましたが、不正認定を受けている論文の2箇所は本来「悪意のない間違い」(理化学研究所「科学研究上の不正行為の防止等に関する規定」〔以下「規定」〕)でしかなく、これを「研究不正」と認定したのは調査委員会の牽強付会です。

 STAP論文に対しては、3月31日付でまとめられた調査報告書で「研究不正」と結論づけられ、4月8日に小保方氏側が再調査を求めて不服申立てをしたものの、5月7日に調査委員会によって「再調査しない」という決定がなされ、その「研究不正」が確定しました。

 3月末の調査報告書に記載された、研究不正の要件となる「悪意」の論証は大変ずさんなものでしたが、5月の不服申立てへの審査結果報告では、調査委員会はなんとこの「悪意」の定義を拡大するという“離れ業”を使い、以って小保方氏の行為を不正と認定しています。

  同審査結果報告2ページでは、

 「悪意を害意など、上記の認識を越えた加害目的に類する強い意図と解すると、そのような強い意図がある場合のみに規程の対象とすることになるが、その結果が、研究論文等の信頼性を担保するという規程制定の目的に反することは明らかである」(下線筆者)

 として、積極的に騙そうとする害意などがなくても、不正と疑われる行為の事実を単に「知っている」だけで、悪意があったと認めるべきだと論じています(法律用語の「故意」と同義に解するということ)。

 しかし、これでは、いかなる過失や思い込みによる間違いも、執筆した著者がその部分を無意識に書いて記憶もしていないということでもない限り、記述内容を知らないということはあり得ないので、結局すべて「悪意あり」として不正認定を下すことが可能となります。

 不正行為の性質について上記の文科省ガイドラインが、背信行為、存在意義の否定、自己破壊という強い否定的言辞で表現していることから分かるように、研究不正には害意など「加害目的に類する強い意図」を伴っていると理解するのが妥当です。

 研究論文等の信頼性を担保するためとはいえ、そのような害意のない過失や間違いを「不正」認定して背信行為として重い処分を課すようにするのは、目的に比して重すぎる手段を採らないよう要請する、いわゆる「比例原則」に反しています。

 このように、調査委員会がわざわざ「悪意」の定義を、害意など「加害目的に類する強い意図」を伴わないものにまで広げたということは、委員会がそうした加害的な意図を小保方氏の行為に見出すことができなかったことを意味しており、実にこの点からしても、小保方氏の行為は本来「研究不正」に該当しないと判断することができます。

 

再実験を無意味とする強引な「捏造」認定

 もう一点、審査結果報告についてやや細かな矛盾を指摘するとすれば、その「捏造」認定の仕方が問題です。

 同審査結果報告8ページでは、

 「規程第2 条第2 項は、『捏造』とは、『データや研究成果を作り上げ、これを記録または報告すること』としている。したがって、(中略)論文に記載されている実験と同じ条件下で得られたデータがあるとしても、捏造の範疇にあるか否かは、当該論文との関係において、当該データが論文に記載されている実験条件下で作成されたものであるか否かにより判断されるものである」(下線筆者)

 と書かれており、前の下線部と後ろの下線部ではよく似た表現なので何が違うのか一瞬戸惑いますが、要するに前の下線部は再現実験等で得られたデータ、後ろの下線部は当該論文のために行われた実験そのもので得られたデータであることを、それぞれ意味していると理解されます。

 前者のデータは、捏造の範疇にあるかかどうかを判断するのに用いるべきでないとしているのですが、それはSTAP論文の場合、博士論文からの流用が疑われた画像データに差し替えて、正しいものとして後から小保方氏らからネイチャー誌に提出された画像データのことを指すのでしょう。

 この画像データは、論文に向けた実験の時ではなく、後から撮り直したものですが、そのようなデータが存在したとしても、捏造かどうかの判定に使用されることはないと調査委員会は言っているわけです。

 しかし、このように捏造が行われたかどうかの判断の対象とするデータの範囲を狭めてしまうと、同じ条件を再現して行われた検証実験を行っても、そこで得られた結果は捏造か否かの判断に当たってまったく考慮されないと言っているに等しく、つまるところ、再現実験には意味がないことになってしまいます。

 ところが、規定第15条第5項では研究不正の調査において「再実験」を行えることが記載されており、これで得られたデータを元に研究不正の有無を判断できることが想定されています。調査委員会の捏造判断の仕方は、この理研の規定に反していると言わざるを得ません。

 これは、小保方氏の過失による画像データの取り違えを無理やり「捏造」と結論付けるために、調査委員会自ら、規定から逸脱する判断枠組みを「捏造」してしまったということで、「語るに落ちた」の一語に尽きます。

 あるいは、論文の体裁というマナーの問題にとらわれすぎて、実験を通じて示される現象なり事実なりが実在するのかどうかという、肝心なマターの問題を見落としてしまったがゆえの失敗ということもできるでしょう。

 以上のように、理研の調査委員会による小保方氏への不正認定には致命的な破綻が存在します。理研は不正認定を一日も早く撤回して、小保方氏の名誉を毀損したことにつき謝罪と賠償を行い、同氏の速やかな名誉回復を図るべきです。

 

 ※ 文意をわかりやすくするため、表現の一部を変更し、若干の文を追加しました。論旨はまったく変わっていません(7月2日)。

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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