STAP細胞の有無と論文不正の有無が錯綜  理化学研究所のSTAP細胞問題で、小保方晴子氏による論文不正があったとの判定を下した「研究論文の疑義に関する調査委員会」の石井俊輔委員長が25日、自らの論文不正疑惑を受けて、委

4/28 理研は小保方氏を研究に復帰させ、野依理事長は辞任を

STAP細胞の有無と論文不正の有無が錯綜

 理化学研究所のSTAP細胞問題で、小保方晴子氏による論文不正があったとの判定を下した「研究論文の疑義に関する調査委員会」の石井俊輔委員長が25日、自らの論文不正疑惑を受けて、委員長を辞任しました。

 調査委員会は、小保方氏の実験データ画像の切り貼りを「改ざん」として研究不正に当たる、と判定していましたが、石井氏自らが過去に同様の疑惑を招く行為をしていたのであれば、小保方氏を裁く資格はなく、辞任は当然でしょう。

 STAP細胞問題に関しては、STAP細胞そのものが存在するか否かという論点と、小保方氏らの論文に不正があるか否かの論点の二つの要素があるのですが、小保方氏と調査委員会が争っているのは後者の不正の有無の問題です。

 ところが、マスコミ報道では、不正の疑いがあるからSTAP細胞は存在しないに決まっているとか、9日の記者会見で小保方氏がSTAP細胞が存在する証拠を示さなかったのは良くないなどといった非難がなされており、議論が錯綜しています。

 

データの改ざん? 画像の捏造?

 不正の有無については、実験データ画像の切り貼りと、博士論文からの流用と疑われた画像の取り違えとの2箇所が問題となっており、調査委員会が1日に発表した報告書ではそれぞれ「改ざん」、「捏造」という不正であると結論づけられています。

 これに対して小保方氏側は、いずれの問題箇所も真正なデータや正しい画像が存在しているので、そもそも偽装に向けた改ざんや捏造ではあり得ず、悪意のない過失だとしています。

 辞書的には、改ざんは「文書の字句などを書き直してしまうこと。普通、悪用する場合にいう」(大辞林第三版)とされ、捏造とは「実際にはありもしない事柄を,事実であるかのようにつくり上げること」(同)とされています。

 前者の改ざんは厳密には、何かに改変を加えることそのものを意味する言葉ですが、一般的には「帳簿の改ざん」という表現に見られるように、その改変を通じて事実とは異なる見せかけを作り出し、本人の利益を図る行為と理解されます。

 今回の問題の判断基準となる、理研の「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程」でも、改ざんの定義は「研究資料、試料、機器、過程に操作を加え、データや研究結果の変更や省略により、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること」とされていることから、単なる変更等だけでは「改ざん」に当たらず、その変更等によって「結果等を真正でないものに加工する」、即ち真実とは異なる見せかけを作るという要件が必要になります。

 

十分な論証なく「不正」を認定

 本件においては、改ざんにせよ、捏造にせよ、事実でないものを事実であるかのように悪意をもって偽装したかどうかが本質的な問題です。上記の理研の規程でも「悪意のない間違い」は研究不正に含まないとしています。

 したがって、小保方氏側が真正のものとして提示しているデータや画像がその通りに正しいもの、偽装を含まないものと確認できれば、問題箇所は研究不正ではなく過失による間違いと判断されます。あとは論文に訂正を入れれば済んでしまう話となります。

 実験データ画像の切り貼りについては、小保方氏は、データに改変を加えたことは事実にしても、切り貼りせずにデータ画像を掲載しても結果は変わらないとしています。やってもやらなくても結果が変わらない行為であるなら、そこに悪意を認定しようとすることは無理があります。

 調査委員会の報告書では、切り貼りを「綺麗に見せる図を作成したいという目的性をもって行われたデータの加工」と認定しており、「データの誤った解釈へ誘導することを、直接の目的として行ったもの」とまでは認定していません(*1)。

 つまり、調査委員会も小保方氏の偽装に向けた悪意を十分に論証できていないのです。にもかかわらず、切り貼りを「改ざん」に当たる研究不正と決めつけており、冤罪というべき判定です。

 博士論文からの流用と疑われた画像の取り違えについては、そのように指摘される前に自ら不適切な画像であることに気づき、2月20日に委員会に対して修正の申し出と正しい画像ファイルの提出があったことから、小保方氏に悪意がなかったであろうことが積極的に推定されます。

 むしろ、委員会の方が、正しいものとして提出された画像について調査を十分に行っていない(あるいは行ったかもしれないが、その結果が調査報告書には記載されていない)ことが指摘されています。

 後で提出された画像が正しいものであるかどうかを確認せずして、捏造かどうかを判定することはできないのに、調査報告書ではその点について何も触れていないのです。研究不正と認定するだけの必要十分な論証がここでもなされておらず、ずさんな調査と言わざるを得ません。

 

小保方氏に「弁明の機会」は与えられたのか

 現在は、調査結果への小保方氏側からの不服申立てを受けて、調査委員会が再調査をするかどうかを審査している状況です。

 再調査があってもなくても、結論として不正認定が維持されるということになれば、小保方氏は懲戒処分の対象となり、少なくとも日本での研究者生命は絶たれることになるでしょう。

 人権擁護の観点から、個人にとって重大な不利益となる処分を下す際には、事前に定められた規則に則り、十分な慎重さと入念さを以って適正に進められなければなりません。今回の調査委員会による調査はその点で疑念を抱かせる余地が大いにあります。

 小保方氏の代理人弁護士は、委員会の調査では本人から直接の聞き取りは1回しか行われておらず、やり取りはメールが中心だったとしています。

 上記の理研の規程では、調査においては、調査対象者に「弁明の機会」を与えなければならないと定められていますが、弁護士の言う通りあれば、小保方氏にはきちんとした弁明の機会が与えられなかったと見るべきでしょう。

 このように手続き的には重大な瑕疵があり、また内容的にも不正認定の論証が上述のようにずさんなものであることから、本調査は到底適正なものとは認められません。

 ガリレオ・ガリレイを有罪と決めつけた、ローマ教皇庁によるお手盛りの異端審問を彷彿とさせる暗黒調査といえます。

 

ずさん調査の責任を取って野依理事長は辞任すべし

 調査委員会がこのようなやっつけ仕事を行った背景には、この4月以降に理研が政府から「特定国立研究開発法人」の指定をもらう予定であったことが指摘されています。

 理研が同法人に指定されれば、世界最高水準の研究機関を目指して補助金や給与面で優遇されることになるので、近年は野依理事長の号令のもと、指定取得に向けて末端の職員に至るまで躍起になっていたと言われています。

 STAP細胞問題を巡って、2月半ば過ぎに立ち上がった調査委員会が調査をずさんに片付け、4月1日に最終結論を出し急いだのは、理研の同法人指定に影響が出ないよう事態の収束を図るためだったと見てよいでしょう。

 理研の特定国立研究開発法人化(*2)はそれはそれで大事な案件だろうとは思います。しかし、だからと言って、個人にとってその研究者生命を失わしめる論文不正の判定を、やっつけ仕事で行うことは決して許されることではありません。まさに人権侵害そのものです。

 したがって、調査委員会は小保方氏からの不服申立てを受け、内容的にも手続き的にもずさんな不正認定を取り消すべきです。不正がなかったからには、小保方氏は当然、これまで通りの研究への復帰が認められなくてはなりません。

 そして、理研のトップ、野依理事長は、調査委員会を立ち上げたものの、その調査を適正に行うことができず、小保方氏の人権を侵害した責任を取って辞任すべきです。

 

 小保方氏に汚名返上のチャンスを

 これまでは、小保方氏の論文不正の有無に関する議論でした。あとは、そもそもSTAP細胞があるのかどうかという問題が残されています。

 これについては小保方氏のチームに研究を続行してもらい、一定の時間をかけて明確な結論を出してもらうことでよいのではないでしょうか。

 このように言うと、不正を疑われるような人間に研究を行う資格はない、といった意見が特に理系の研究者や専門家から出てきそうです。

 しかし、日本発の新しい発見・発明を増やしていこうとするなら、そのようなオール・オア・ナッシングや減点主義の発想ではなく、悪意のない間違いや失敗にはもう少し寛容になって、再チャレンジを促す気風を醸成すべきでしょう。

 もちろんルールを軽視してよいということではありませんが、不正がなかったと判定されるなら、最低限の倫理的な問題はクリアされるわけですから、汚名返上に向けて頑張るチャンスを小保方氏に与えるべきです。

 不正が疑われた箇所以外の論文の疑問点については、小保方氏らに説明責任を果たしてもらい、すぐに結論が出ないものについては彼らが研究を進める中で答えをきっちり出していくよう求めればよいのです。

 マスコミ報道を見ると、理系の専門家や研究者からは、これまでの生物学の常識を覆す研究内容であることへの反発も手伝って、「データや証拠をすぐに出せ」とか、「再現実験が成功しない。目の前で実験してみせろ」という、感情的な厳しい批判が渦巻いています。

 そうしたことができるならそれに越したことはありませんが、データ等の情報に関しては研究競争上の優位性や特許など知財の問題に絡むところでもあるので、何から何まで全部開示せよというのは酷でしょう。

 また、再現実験の問題についても、「世界トップレベルの研究ともなると、ギリギリの状態で実験が行われることが多く、ネイチャーなどの論文に掲載された研究のかなりの割合が追試困難」(*3)という指摘もあるので、追及はほどほどにすべきです。

 小保方氏は記者会見で、今回の論文は現象論の記述のみで、STAP細胞作成の最適条件を示す論文はこれから作成するという旨を発言していました。

 こうした進め方については、一般的に考えて理解できないわけではないですし、ネイチャー誌がその論文を掲載したという事実を踏まえれば、その進め方は自然科学の世界でも受け入れられる余地があるものと考えられます。

 それでもSTAP細胞や小保方氏を疑っているあなた、最終的な結論が出るまでもう少し時間を待ってみてもよいではありませんか。

 ここでSTAP細胞の研究を中止してしまうと、科学上の大発見の機会をみすみす逃してしまう可能性がありますし、レシピやコツを持っている小保方氏を外してSTAP現象の検証を進めてみても、検証は成功せずせっかくの機会を失う蓋然性が高いでしょう。

 研究にかかるお金がもったいないという人もいますが、ある意味で怪しげに見える案件に取り組む余裕を失い、ただただ確実性の高そうな案件ばかり追究するようになると、常識を覆すような新たな発見・発明はほとんど出てこなくなります。

 これからの日本に必要なのは、小保方氏のように従来の常識にとらわれずに、新しい発見を求めて果敢に挑戦していく科学者です。

 本当に成功するのはその中の一握りなのかもしれませんが、それでもその人たちが画期的な新発見や新技術をもたらしてくれれば、国民や世界人類に裨益するところは極めて大きいでしょう。

 科学技術の新しい未来を開いていくためには、それに携わる人々や関係する人々に、現今のヒステリックなマスコミ報道に惑わされない、冷静かつ柔軟な対応や発想が求められるのではないでしょうか。

 

【注】

(*1)調査委員会の報告書は小保方氏のデータの切り貼りを「データの誤った解釈を誘導する危険性を生じさせる行為」であり、「そのような危険性について(小保方氏が)認識しながらなされた行為」と評価しています。微妙な言い回しではありますが、要するに委員会が指摘し得たのはせいぜい「危険性」、それも本人の主張にとって好都合なのかどうかはっきりしない「危険性」に過ぎず、本人の主張に都合が良くなるように「結果等を真正でないものに加工」した行為、そのような目的性を以ってなされた行為とは断定できなかったということです。

(*2)政府は当初、理研を同法人に指定する法案を4月中旬に閣議決定し、国会提出する方針でしたが、STAP細胞論文問題を受けて、菅義偉官房長官は9日の会見で「少なくとも問題解決のめどが立たないうちに閣議決定はしない」と述べました。

(*3)<小保方さん会見>論点整理と論文の核心部分とは | THE PAGE(ザ・ページ) http://thepage.jp/detail/20140409-00000030-wordleaf?page=2

 

 【参考文献】

 ・大川隆法著『小保方晴子さん守護霊インタビュー それでも「STAP細胞」は存在する』(幸福の科学出版)

 ・1 理研STAP細胞論文調査委員会報告への根本的疑問―あえて改めて小保方氏を擁護する http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/15348853.html

 ・理研STAP細胞調査報告書の「改竄」認定が不合理な理由―理研STAP細胞論文調査委員会報告への根本的疑問(2) http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/15348864.html

 ・理研STAP細胞調査報告書の「捏造」認定は杜撰に過ぎる―理研STAP細胞論文調査委員会報告への根本的疑問(3) http://blogs.yahoo.co.jp/teabreakt2/15348867.html

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
HS政経塾公式サイト
ついき秀学の「日本の未来はここにあり」