消費増税に慎重姿勢を示す安倍首相  このところ、安倍晋三首相が1年後に予定されている消費増税に対して慎重な発言を重ねています。  3月27日の参議院財政金融委員会の質疑では、「何が何でも消費税を上げるという姿勢ではない。

4/6 実質2%成長で消費増税に踏み切ってよいのか

消費増税に慎重姿勢を示す安倍首相

 このところ、安倍晋三首相が1年後に予定されている消費増税に対して慎重な発言を重ねています。

 3月27日の参議院財政金融委員会の質疑では、「何が何でも消費税を上げるという姿勢ではない。税収が上がらなければ元も子もなく、景気そのものに悪影響を及ぼすことになっては本来の趣旨に反する」と述べました。

 また、4月2日の衆議院予算委員会でも、みんなの党の渡辺喜美代表の質問に対して「景気の底割れにつながり、結果として税収は落ち、失業率が上がってしまっては元も子もない」と、慎重な姿勢を示しています。

 消費税率を上げるべきでないことは、何年も前から幸福実現党が主張し続けてきたことです。その理由は、安倍首相の言葉にもあるように、増税をすれば景気が悪くなって、結果的に税収も減るからです。

 皆様ご承知の通り、これは机上の空論ではなく、実際に近年の日本で起こったことです。

 1997年4月に消費税率を3%から5%に引き上げ、同時に特別減税の打ち切りや医療費の本人負担増も行い、合計9兆円もの国民負担増を実施したところ、国の一般会計税収は97年度の53.9兆円から、98年度49.4兆円、99年度47.2兆円へと減少しました。

 その後、好景気で税収が持ち直したことはありますが、それでも最も多かった時で2007年度の51.0兆円にとどまっています。

 このような経験に鑑みれば、長期の低成長経済に陥っている我が国では、財政再建の方法として、景気のさらなる悪化をもたらす増税は適切でないことは明らかです。

 今回の消費増税法では景気への配慮として、いわゆる「景気弾力条項」が盛り込まれており、増税にあたっては名目3%、実質2%の経済成長を努力目標とするとされています。

 来年4月の5%から8%への税率引き上げの判断は今年10月をめどに行われる予定ですが、そこでは今年4-6月期の実質GDP成長率が年率2%となるかどうかが大きな判断基準の一つとなると見られています。

 しかし、97年増税の前年96年の実質GDP成長率が2.6%だったにもかかわらず、増税後に景気が腰折れして金融危機を引き起こしたことを踏まえれば、この四半期に実質GDP成長率が2~3%に達した程度で増税するのは、再び深刻な景気後退を招くリスクが極めて高いと言わざるを得ません。

 97年増税はたまたまアジア通貨危機と重なったというかもしれませんが、現在から近い将来にかけても欧州債務問題が再燃する危険性は去っておらず、中国経済の先行きもかつてのような楽観視はできません。

 一昨日4日には黒田東彦総裁下での初の日銀金融政策決定会合が行われ、そこで大胆な「異次元」金融緩和が決定されたことにより、従前にも増してデフレ脱却と本格的な景気回復への期待が高まりつつあります。

 にもかかわらず消費増税に踏み切れば、今回の緩和決定が1年程度のタイムラグを経て実体経済に効果を現し始めるちょうどその時に、これを全面的に打ち消す形になってしまいます。

 

消費増税「中止」で駆け込み需要と反動減が発生する?

 しかしながら、主要マスコミは依然、消費増税こそが財政再建に必要という論調です。

 「仮に消費増税をやめたら、日本の財政再建への不安から長期金利は上がる可能性が高い。住宅メーカー幹部は心配する。『もし増税をやめるという話になって住宅ローンの金利が上がれば、その時こそ住宅の駆け込み購入と反動減が起こる』」(4/2付日本経済新聞)

 日経記者は、「消費増税中止→財政再建不安→国債の購入が嫌気されて価格下落=長期金利上昇→住宅ローン金利上昇」というシナリオを住宅メーカー幹部に語らせていますが、仮にそうなったとしても「住宅の駆け込み購入と反動減」は起きないでしょう。

 なぜなら、一旦財政不安が生じれば、国債はたちまち暴落し即座に金利が大幅上昇するので、人々が住宅の駆け込み購入に走る十分な時間的余裕がないからです。駆け込み購入がなければ当然、その反動減もあり得ません。

 また、仮に徐々に金利が上がることになったとしても、では、どの金利水準までなら駆け込み需要が発生して、それ以上なら反動減となるのか、誰にもはっきりしたことは事前に分からないため、やはり駆け込みようがないのです。

 消費増税の影響として、施行前の駆け込み需要と施行後の反動減が発生し、結果的に経済に大きな痛手を残すことになるのはよく知られていますが、これに反論するために、実態にそぐわない無理なシナリオをでっち上げたというべきでしょう。しかも、それを記者本人の見解ではなく、住宅メーカー幹部の発言に仕立てあげたところが責任回避の形としては実に絶妙です。

 そもそも、消費増税を中止しても、それはアベノミクスで勢いづいている景気の回復に水を差す重大な懸念要素が無くなり、むしろ税収増の確実性が高まることを意味するため、財政再建不安が起こると決め付けることはできません。

 不安が起きるとすれば、それは財務省にコントロールされたマスコミが、財政再建には消費増税が不可欠という間違った認識を広めて、世の人々を煽った結果でしかあり得ないのです。

 日経新聞の経済記事と言えども、騙されないよう気をつけて読まなければなりません。

  昭和の初年、世界恐慌の嵐が吹きすさぶ中、当時の浜口雄幸内閣が金輸出解禁というデフレ政策を強行しました。「一時的には不景気にはなるが、物価や通貨の安定を通じて、やがて輸出が回復し、景気も良くなる」というシナリオを政府が描き、マスコミの大多数もこれを支持。反対したのは高橋亀吉ら、ごく少数のエコノミストに限られました。(※)

  政府が金解禁を実施した後には、高橋らが指摘した通りの未曾有の大不況がやってきて、浜口首相が狙撃された末に内閣は総辞職。後継の若槻礼次郎内閣も短命に終わり、次の犬養毅内閣で高橋是清蔵相によって金輸出は再禁止されるに至りました。

 政府やマスコミ多数の言うことが必ずしも正しいわけではないことをよく示す歴史上の事例ですが、今の政府や国会の多数、マスコミの多数も金解禁時と同様の過ちを犯しています。

 増税賛成派のシナリオは、「消費増税で一時的には不景気になるが、財政再建を通じて国民の将来不安が緩和されることで、お金が貯蓄から消費に回されるようになり、景気も良くなる」といったところでしょう。

 しかし、そもそも増税で不景気を招来して国民の所得が減れば、消費に回すお金も減ってしまいます。金解禁を行った政府と似たり寄ったりの、誤謬と希望的観測に基づくシナリオでしかありません。

 やはり財政再建の方法は、景気の力強い回復・拡大を実現して国民の所得を増やしながら税収を増やし、社会保障関係費等の支出を抑制していくところにしかないのです。

 安倍首相は迷うことなく、来年4月の消費増税を見送るべきです。

 

(※)正確には、政府が推進したのは旧平価での金輸出解禁(金本位制への復帰)で、高橋亀吉らは新平価での金輸出解禁を主張した。旧平価による金解禁は実力以上の円高となるので、輸出が抑えられて、放置すれば国際収支が悪化する。それを避けるために輸入抑制を図って、消費節約、財政支出削減、金融引き締めが行われ、日本経済に大きなデフレ圧力が加わった。実力相応の新平価での金解禁なら、このようなデフレ圧力は発生しない。

 

HS政経塾の最近の動き

 ところで、本ブログは前回の記事更新から1ヵ月近くが経ってしまいました。他の業務もあって、なかなか手が回らなかったというのが正直なところです。

 特に先月下旬には、24日に板橋シティマラソン、29日に第1期生「卒塾式」、30日に第4期生「入塾式」と立て続けに重要行事があり、大きな山場を迎えました。

 冒頭のアイキャッチ画像は板橋シティマラソンの出発前に撮影した写真です。お陰様で塾スタッフも含め、ほとんどの参加者が完走できました。

 29日には塾始まって以来初の卒塾生を送り出す、卒塾式が執り行われました。5名の卒塾生は政治家を目指して、それぞれの道を歩み始めています。塾での3年間で培った力をもとに大きな飛躍を遂げてほしいと願っています。

(卒塾した第1期生5名〔右から3人目は筆者〕)

 そして、30日には本年入塾する第4期生を迎える入塾式が執り行われました。それぞれ個性豊かな入塾生ですが、これから3年間を大切にして学びを深め、己が人格に磨きをかけていってほしいと思います。

(入塾した第4期生5名〔最前列。但し左から3人目は筆者〕と在塾生)

 なお、入塾式においては、大川隆法名誉塾長より「大政治家になるための自己修行法」という法話をいただきました。立宗間もない頃からの幸福の科学と政治との関係についての秘話が明かされたほか、政治家や企業家として大人物へと成長するための心構えを教えてくださいました。全国の幸福の科学の精舎で今月13日から拝聴いただけます(詳しくは各精舎にお問い合わせください)。

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
HS政経塾公式サイト
ついき秀学の「日本の未来はここにあり」