明日4日は衆院総選挙の公示日です。  今回の選挙戦では原発の扱いが大きな争点の一つとなっています。  既存政党や新規政党が入り乱れて、様々な見解を並べていますが、民主党や第三極と言われる勢力はおおむね脱原発を主張、自民

12/3 そろそろ脱原発ポピュリズムから“卒業”しよう

 明日4日は衆院総選挙の公示日です。

 今回の選挙戦では原発の扱いが大きな争点の一つとなっています。

 既存政党や新規政党が入り乱れて、様々な見解を並べていますが、民主党や第三極と言われる勢力はおおむね脱原発を主張、自民党は10年かけて最適なエネルギーミックスを考えるという曖昧な表現にとどまり、「安全性を高めながら原発を推進すべきである」と明確に唱えているのはわが幸福実現党だけという状況です。

 確かに、昨年の福島第一原発事故の衝撃的な映像を見た多くの方々の感覚として、「もう原発事故は起きてほしくない。だから原発はなくしたほうがいい」という思いが出てくるのはもっともなことです。しかし、そうした感情論をそのまま政策として具体化するのは問題が多いと言わざるを得ません。

 世の中でショッキングな出来事が起こった際に気をつけるべきなのは、人間は良いことよりも悪いことに反応しやすい性質があるということであり、マスコミは珍しいことほど大きく取り上げる傾向があるということです。

 原発事故のような普段めったに起こらない悪いことが実際に起きた場合、マスコミはもちろんそうした事件を大々的に取り上げ、ともすれば人々の反応も過剰になりがちです。恐怖心に囚われて、理性的な判断を見失うこともあります。

 今回1000年に1度と言われる大地震と津波を受けて原発事故が発生しましたが、不幸中の幸いで放射線による犠牲者はゼロで、住民の方々の放射線被曝量も健康被害が出るレベルではないと見られています。

 その一方で、自動車事故は全国のどこかで毎日のように起こり、毎年数千人の方が亡くなっています。原発事故で亡くなるリスクと自動車事故で命を落とすリスクとでどちらが高いかと言えば、それは言うまでもなく後者です。にもかかわらず、「脱自動車」を論ずる人はめったにいませんが、「脱原発」を言う人は全国に数多くいらっしゃいます。

 その背景には、自動車の効用は日々の生活で実感できますが、原発の効用はそのようなものではないということがあります。比較的安価で安定的な電力を供給できるという原発のメリットは、日常的な生活感覚では捉えにくく、その社会経済上の重大な意義が理解されにくいということが、人々を脱原発に走らせる大きな要因の一つでしょう。

 本来、代議制のもとで国民の代表として選ばれた政治家には、単なる感情論に左右されない冷静な認識(感情を理解することも大事ですが)と大局観に基づく判断能力が求められます。ところが、現在の日本では政治家の多くが、人々の感情論への迎合でお互い競い合っています。

 与党の民主党しかり、共産党や社民党の左翼政党しかり、第三極の日本未来の党、日本維新の会(旧大阪側)、みんなの党しかりで、ことごとくポピュリズムに走っています。自民党も、左翼マスコミと一体となったこの流れに抗しがたく、原発の扱いについて曖昧な態度に終始しています。

 しかし、ここで国家としての判断を誤って脱原発を選択すれば、日本経済は電気料金の高騰で強みの製造業が大打撃を受けるなどして沈没してしまいます。国防上も中国や北朝鮮の核兵器への対抗手段を持つ道が閉ざされ、国家として存亡の危機に立たされるのは時間の問題です。

 また、脱原発を主張する政治家やマスコミには、脱原発に伴う投資とそれへのリターンを冷静に把握するだけの大局観に欠けています。

 先日2日放送のニコニコ動画での政策説明や、それ以前の街頭演説等でもお話してきましたが、例えば政府のエネルギー・環境会議が今夏に提示した2030年原発ゼロシナリオ。ここでは投資とリターンの関係はどうなっているかと言えば、2030年に原発をゼロにするため、太陽光・風力などの再生可能エネルギーの比率を35%にまで引き上げることとし、そのために必要な投資額は約50兆円と試算しています。そして省エネ投資のために約100兆円の投資が必要とされていますが、省エネで節約できる金額が約70兆円と算定されているため、ネットでは約30兆円の投資となります。

 かくして合計約80兆円の投資を原発ゼロのために行うというシナリオですが、その結果、何がもたらされるかと言えば、電気料金は最大で約2倍となり、実質GDPは自然体比で最大約45兆円マイナスとなると試算されています。もっとも、これよりも電気料金値上げ幅が小さく、GDPのマイナスが小さい試算もありますが、大事なことは結論がどちらの方向に向いているかです。ネットで80兆円も投資して、電気代は値上がりし、経済成長は鈍る。莫大な投資をしたことに対するリターンがこれでは、そもそも投資の意味がない、と判断するのが普通ではないでしょうか。

 これを自動車に喩えれば、高いお金をかけて自動車を改造したところ、燃費は悪くなり、スピードも出なくなったというような話で、この改造に何らの合理性も感じられません。大局観があれば、原発ゼロシナリオは、何かがおかしいと感じられるはずです。

 もちろん原発がゼロになれば、原発事故のリスクもゼロにはなります。しかし、そのあおりで経済成長が鈍化すれば、そこで必ず経済的に割を食う人、すなわち倒産や失業で苦しむ人が出て、その中には自殺をしてしまう人も出てくることになります。率直に言って、経済苦による自殺者の命と引き換えに原発をゼロにすることに、いかほどの正当性があるのでしょうか。

 80兆円も投資するぐらいなら、そこから原発の安全性を高める投資を行ったほうが、原発事故のリスクを可能な限り低減することができ、かつ安価で安定的な電力供給が維持されるので、経済苦による自殺者を増やさず、むしろそれを減らすことのできる高い経済成長の可能性が出てきます。

 原発の安全性を高めることの現実味について言えば、実は東日本大震災で福島第一原発よりも震源地に近かった宮城県の女川原発はその大地震と津波を耐え抜き、地元被災民の避難所として機能していたという実績があります。1000年に1度の地震と津波で事故を起こさない原発を既に実現しているのですから、ここから福島の教訓等を踏まえて、さらに安全性を上げていけば、原発の事故リスクは相当程度極小化できるはずです。

 現在、総選挙を前にして、「性急な『脱原発』ではなく、原発を段階的に減らす『卒原発』」といった、ある種の言葉遊びが流行っているようですが、日本の政治はそろそろ、そのような脱原発ポピュリズムから卒業し、感情論に惑わされることなく、国家国民のために真に必要な政策を遂行していかなければなりません。幸福実現党は、「安全性を高めて原発推進」を掲げてブレずに戦い続けます。

 

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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