5月5日付の日本経済新聞1面に、「『ハコモノ防災』の限界」という見出しをつけたコラムが掲載されていました。岩手県釜石市の巨大防波堤を引き合いに出し、次のように述べています。 (引用開始) ================

5/6 「ハコモノ防災」の限界?

5月5日付の日本経済新聞1面に、「『ハコモノ防災』の限界」という見出しをつけたコラムが掲載されていました。岩手県釜石市の巨大防波堤を引き合いに出し、次のように述べています。

(引用開始)

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 東日本大震災で1300人を超す死者・行方不明者がでた岩手県釜石市。海底までの深さでギネスブックにも登録された「世界一」の防波堤があったが、巨大津波を防ぎきれなかった。2本の総延長は1660メートル。1200億円をかけたコンクリート建造物は半壊状態となり、無残な姿に変わり果てた。
 それなら、もっと大きな防波堤をつくればよいのか。大地震や大津波に備えて、あれも、これも……。厳しい財政事情で、それは現実味に欠ける。国の防災関連予算は年間約1兆円。事業仕分けで廃止とされた河川の洪水対策「スーパー堤防」をつくるには400年、12兆円が必要になる。
 防波堤が無駄だったわけではない。釜石の防波堤は市街への津波の到達を6分遅らせ、津波の高さを4割、遡上した高さは5割抑えたという。大震災が示したのは「ハコモノ防災」の限界だ。

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(引用終わり)

当コラムでは「防波堤が無駄だったわけではない」としつつも、より大きな防波堤を造ることには否定的な立場を取っています。

もちろん、防災対策でハード(建造物)だけがしっかりしていればよいわけではなく、防災教育や避難訓練といったソフト面での対応も非常に大切です。上記の引用箇所の後でも、日頃の防災教育と訓練によって、今回の津波で児童の犠牲者がゼロだった市立釜石小学校の事例が紹介されています。

しかし、ソフト面での取り組みがしっかりしていればハードによる対策が不要になるわけではないことも、あたり前の話です。ハードに限界はあるにしても、やはり可能な限り高く大きくしておくべきです。

「厳しい財政事情」を言い訳にしてはなりません。この辺りは、いわゆる記者クラブ制度を媒介として、日本の官庁とメディアは相当程度癒着しており、メディアはある意味で官僚のコントロール下に置かれていることが方々で指摘されていますが、当コラムの執筆者も財務省に“洗脳”されてしまっているようです。

現状の国の防災関連予算が年間1兆円と言いますが、今回の震災を機に必要であれば、何倍かに増やせばよいのです。財源は国債の増発、即ち借金で構いません。借金の残高は増えますが、その見合いで防波堤という国の資産も増えるのですから、気にする必要はありません。将来世代にも防波堤のメリットは及びます。むしろ防波堤建造による需要刺激効果や、町の安全性が高まることによる経済拡大効果が見込めるので、GDPが大きくなって税収が増え、借金の負担も相対的に小さくなっていきます。

200年に1度の洪水に備える河川のスーパー堤防も無駄な事業のように記述していますが、国民の生命・安全・財産を守ることが政治の大目的であることに鑑みれば、「400年もかかって12兆円もかかるから無駄」と考えるのではなく、工期を200年とか100年、あるいは50年にまで何とか縮められないかどうか、事業の質を保ちながらコストを少しでも抑えられないかどうかを検討すべきなのです。

例えば、オランダではライン川に関して1250年から1万年に1度の大洪水に対応できるよう、イギリスではテムズ川について1000年に1度の大洪水に対応できるよう、それぞれ治水に取り組んでいる一方、日本では30年に1度の洪水への対応を治水計画上の目標とすることが多いとされています(bit.ly/k2xoAf)。日本の防災対策はハード面でもまだまだ十分ではありません。

幸福実現党は、震災を受けて、防災インフラにもしっかり投資して「防災大国ニッポン」を築くべきであるというビジョンを打ち出しています。現在の日本は、270兆円に上る世界最大の対外純資産を保有しており、長期金利も1%台前半で、必要な投資はどんどん推し進めることのできる経済状況です。公的債務の大きさの問題は、より積極的な金融政策でデフレを脱却して、名目値でもしっかり成長していく経済に回帰できれば税収も増大していくので、それほど困難なものではありません。

政治家や官僚、マスコミに蔓延している、目先の財政状況に囚われた小さな発想が、この国の発展の妨げとなっています。今、政治に必要なのは、国民の安全確保と経済成長に向けた大きな未来ビジョンです。

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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