韓国の戦時徴用訴訟で、被告の新日鉄住金(旧日本製鉄)が、敗訴が確定したら賠償を支払う意向だという報道が昨日18日付の産経新聞でなされました。  戦時中に徴用されて日本に来た韓国人4人が旧日本製鉄で過酷な労動を強いられた

8/19 政府・外務省は条約無視の韓国に厳しい警告を

 韓国の戦時徴用訴訟で、被告の新日鉄住金(旧日本製鉄)が、敗訴が確定したら賠償を支払う意向だという報道が昨日18日付の産経新聞でなされました。

 戦時中に徴用されて日本に来た韓国人4人が旧日本製鉄で過酷な労動を強いられたなどとして損害賠償や未払賃金の支払いを同社に求め、韓国の裁判所で提訴されたものですが、このような案件は本来韓国政府が対応すべきです。

 なぜなら、1965年に日韓基本条約を結んで国交を正常化させた際、日韓請求権協定も締結し、両国間の終戦までの財産の返還や請求権の問題については「完全かつ最終的に解決された」としているからです。

 この請求権問題の交渉では韓国側は戦争賠償金の支払いを求めましたが、日本側は韓国とは戦争をしていないのでこれを当然に拒否し、むしろ日本が韓国に残した資産の返還請求権があると主張しました。

 結果的に、日本側が賠償金ではなく、経済協力金として3億ドルの無償供与と2億ドルの借款供与を韓国に対して行い、それ以外はお互いに請求権を主張しないことで妥結に至ったのです。

 したがって、件の韓国人4人が当時の日本製鉄に損害賠償等の請求権があったとしても、それは韓国政府が支払いをするなどして韓国内で解決すべき問題であって、現在の新日鉄住金や日本政府に対して向けられるべきものではありません。

 新日鉄住金への訴訟も1、2審では請求が退けられていましたが、昨年5月に韓国の大法院(最高裁)が「強制徴用は『反人道的な不法行為』であり協定の対象外」として個人請求権を認め、高裁に差し戻しました。

 高裁では今年7月10日に新日鉄住金に賠償を命ずる判決が出され、現在同社が上告中です。

 しかし、そもそも、韓国大法院の「強制徴用は反人道的な不法行為」というのは言い掛かりにしか過ぎません。

 戦争中は日本人も徴用されて工場などで勤務することがありました。朝鮮の人たちも当時は「日本人」だったから徴用されたのであって、これ自体を「反人道的な不法行為」として協定の対象外とするのは、あまりにも手前勝手な理屈です。

 こんなお粗末な一方的な論理に基づいて国家間の条約を反故にされたら、まともな外交活動は行えませんし、民間の経済活動も難しくなります。

 新日鉄住金は大法院で敗訴が確定した場合、取引先への売掛債権等が差し押さえられて相手に迷惑をかけたりしてはいけないので、賠償金を支払うことを考えているそうですが、その金額は高裁判決では日本円にして約3500万円。

 同社の本年3月期の連結売上高4.4兆円足らずという規模からすれば、こう言っては何ですが、どうにでもなる金額です。取引先にしても、面倒をかけてしまうのかもしれませんが、別途何らかフォローすることも十分可能なのではないでしょうか。

 ここで一企業としてお金や手間暇を惜しんで、あっさり賠償金を支払えば、「条約無視の要求でも日本は飲んだ」という悪しき前例となって類似の事例が頻発。さらに大きな不当要求を吹っ掛けられるなどして事態がエスカレートするのは必至で、国益そのものが大きく毀損されてしまいます。

 新日鉄住金は絶対に賠償金を支払うべきではありません。

 また、政府・外務省も「訴訟は係属中で、判決確定や資産差し押さえ後の対応について、仮定の話はできない」(8/18産経)と、無為無策を決め込んでいるようですが、このような姿勢が韓国側の最近の増長を呼び込んでいると言わざるを得ないでしょう。

 先方は請求権協定を事実上反故にしようとしているのですから、それによってもたらされる論理的帰結についてきちんと警告を発してやるべきです。

 すなわち、協定に基づいて行った無償資金供与3億ドルは現在の経済的価値に換算して返還してもらわなければなりません。仮に韓国の国家予算を比較対象に計算すれば、当時3.5億ドルで今は2719億ドル(2012年)なので、要返還額は2300億ドル程度でしょうか。

 また、敗戦以前の在韓資産の返還ももう一度俎上に載せる必要があります(戦後まもなくの調査では当時の金額で約53億ドルとされる)。

 韓国が裁判所の意向を理由に条約の無効化を図るのであれば(これ自体、近代国家として無茶苦茶な話ですが)、わが国としては請求権の交渉をもう一度ゼロからやりなおす覚悟もあることを伝え、その請求額の最大値もしっかり明示しておくべきでしょう。

 その際、わが国の側として気をつけなければならないことは、「韓国を悪しき植民地支配で苦しめた」などという自虐史観とはきっぱり訣別しておくことです。

 まともに自力で近代国家を築けなかった韓国をわが国が代わりに統治し、産業のインフラや教育制度を整え、毎年多額の財政資金も投入してきました。

 戦争もあって、参政権を与えるところまでは達しませんでしたが、それでも基本的に、日本は韓国の近代化にプラスになることを数多く行ってきたのです。例えば彼らが誇りとするハングルは、わが国が作った学校制度を通じて本格的に普及が進んだものです。

 一方、「従軍慰安婦」や創氏改名などを材料に韓国側がわが国を非難してきましたが、それらの事象で本当に非難に値する部分の話はほとんど彼らの捏造です。

 このような歴史の真実を知っていれば、仮に再度、請求権の交渉となっても、毅然とわが国の主張と国益を貫くことができるでしょう。

 現実問題として請求権交渉のゼロベースのやり直しが良いことなのかという検討はもちろん必要ですが、理論的な可能性が存在することは確かである以上、これをも先方への牽制の材料としてしっかり使っていくという発想が日本の外交に求められます。

 問題が進んでいても「静観」し、悪しき結果が出たら「遺憾」と言うだけの受け身外交では、日本はもはや「アカン」ことになってしまうのです。

 

 

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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