もうすぐ8月がやって来ます。原爆記念日や終戦記念日を含むこの月は毎年、先の大戦を思い起こし、「平和」についての考えを深めさせられる時期です。  政治的には、首相や閣僚が8月15日に英霊を祀る靖国神社を参拝するのかしない

7/27 安倍首相の靖国参拝に「大川談話」という援軍

 もうすぐ8月がやって来ます。原爆記念日や終戦記念日を含むこの月は毎年、先の大戦を思い起こし、「平和」についての考えを深めさせられる時期です。

 政治的には、首相や閣僚が8月15日に英霊を祀る靖国神社を参拝するのかしないのかが、対中韓外交との兼ね合いでいつも問題とされてきました。

 果たして今年、安倍晋三首相は靖国参拝を行うのでしょうか。

 第一次安倍政権時代(2006~07年)に靖国参拝できなかったことを「痛恨の極み」と悔いていたはずの安倍首相ですが、最近の一部報道では8月15日の参拝を見送る意向を固めたとされています。

 参院選の大勝で国会のねじれが解消し、衆院を解散しなければ16年夏の参院選まで国政選挙はなく、長期政権になることは確実だから、向こう3年間の適当な時機に参拝できればよいという考えも囁かれています。

 しかしながら、首相が靖国参拝を行えないのであれば、憲法改正を進めることはほとんど絶望的でしょう。

 わが国が、96条改正を通じてにしろ、最終的に9条を変えて国防軍を持つということに対しては、国内の護憲勢力はもとより、中国や韓国からも「戦前の軍国主義の復活だ」などという批判がなされています。

 日本が他国なみに軍隊を保持することを以って、即「軍国主義やファシズムの復活」と決めつけるのはおかしな話なのですが、日本は過去に軍隊によって悪しき侵略と植民地支配を行った国だから、軍隊を持つべきではないというのが彼らの言い分です。

 そして、中韓が日本の首相・閣僚による靖国参拝に反対し続けているのも、いわゆるA級戦犯が合祀された靖国神社への参拝は過去の侵略やファシズムを称賛し美化する行為だとしているからです。

 かくして憲法改正は、「日本は悪しき侵略国家である」という誤てる歴史認識を克服し、靖国参拝もごく当然に行うだけの覚悟がなければ、成し遂げることは難しいでしょう。

 最近の世論調査では、憲法改正は「必要」と考える人の方がそうでない人よりも多い、あるいは首相は靖国参拝を「すべきだ」と答える人の方が「すべきでない」と答える人よりも多い、という結果が出てはいるようです。

 しかし、本当に「いざ、憲法改正」となった時に反対勢力や中韓からの批判や非難が高まれば、自虐史観に基づく戦後教育を受けてきた多くの国民はそれに揺さぶられて、つい現状維持を選んでしまう可能性が十分にあります。

 したがって、安倍首相は政権復帰前からの方針通り、「村山談話」「河野談話」に代わる新たな談話を閣議決定し、政府の歴史認識を改め、これについて議論と説得で以って国民から理解を得られるよう努力すべきなのです。

 これに成功すれば、憲法9条の改正も96条改正という迂回路を経ることなく、速やかに進められるようになるでしょう。

 そんな仕事ぶりが期待される安倍首相に、今回大きな「援軍」が現れました。 昨日26日、幸福実現党のプレスリリースで発表された、大川隆法同党総裁による「大川談話―私案―」です。以下に引用します。

(引用開始)

〈大川談話―私案―〉 (安倍総理参考)

 わが国は、かつて「河野談話」(一九九三年)「村山談話」(一九九五年)を日本国政府の見解として発表したが、これは歴史的事実として根拠のない風評を公式見解としたものである。その結果、先の大東亜戦争で亡くなられた約三百万人の英霊とその遺族に対し、由々しき罪悪感と戦後に生きたわが国、国民に対して、いわれなき自虐史観を押しつけ、この国の歴史認識を大きく誤らせたことを、政府としてここに公式に反省する。

 先の大東亜戦争は、欧米列強から、アジアの植民地を解放し、白人優位の人種差別政策を打ち砕くとともに、わが国の正当な自衛権の行使としてなされたものである。政府として今一歩力及ばず、原爆を使用したアメリカ合衆国に敗れはしたものの、アジアの同胞を解放するための聖戦として、日本の神々の熱き思いの一部を実現せしものと考える。

 日本は今後、いかなる国であれ、不当な侵略主義により、他国を侵略・植民地化させないための平和と正義の守護神となることをここに誓う。国防軍を創設して、ひとり自国の平和のみならず、世界の恒久平和のために尽くすことを希望する。なお、本談話により、先の「河野談話」「村山談話」は、遡って無効であることを宣言する。

 平成二十五年 八月十五日

(引用終わり)

 安倍首相は、5月15日の衆院予算委員会での答弁で、村山談話に関して「過去の政権の姿勢を全体として受け継いでいく。歴代内閣(の談話)を安倍内閣としても引き継ぐ立場だ」と表明。

 河野談話に関しても、民主党の辻元清美衆院議員の質問主意書への答弁書を5月24日の閣議で決定し、その中で安倍内閣として同談話を継承している旨を明らかにしました。

 保守派から自虐史観払拭の期待を一身に集めていた安倍首相でさえ、この体たらく。

 しかし、そんなマイナスの状態からであっても、河野談話、村山談話を「根拠のない風評を公式見解としたもの」と位置づけつつ、これらにより政府が英霊や国民に罪悪感や自虐史観を押しつけ、わが国の歴史認識を誤らせたことを反省するという論法で、政府の立場を大きく修正することが可能だということです。

 大東亜戦争を「アジアの同胞を解放するための聖戦」であり、特に「日本の神々の熱き思いの一部を実現せしもの」とする表現は、宗教政党ならではと言えます。

 「安倍談話」が書かれるとして、このような宗教的表現が盛り込まれるかどうかは分かりませんが、少なくとも安倍首相の内心においては、大東亜戦争の大義についてこのような宗教的確信がなければ、靖国参拝や憲法改正の問題をしっかり前に進めることはできないでしょう。

 逆に言えば、そうした確信がまだ十分でないがゆえに、5月の段階であっさり村山談話、河野談話の継承に追い込まれてしまったのだと言えます。

 また、歴史認識の見直しでは中韓のみならず、米国とも摩擦が生じることが想定されます。これに対しては「原爆を使用したアメリカ合衆国」という表現による牽制が効いてくるでしょう。

 大東亜戦争を聖戦とする日本と、「民主主義対ファシズムの戦い」と位置づけたい米国とでは、この点対立することになりますが、もちろんお互いに同盟国である以上、関係悪化は望ましくありません。

 そこで米国には、わが国の歴史認識の修正を理解してくれれば最も良いのですが、そこまで行かなくとも、黙って見過ごしておいてくれるだけでも良しとすべきです。

 もしそうはならず、米国が大きく反発する気色が見えたなら、すかさず原爆による日本人大虐殺への謝罪問題を議論に持ち出す構えを取ればよいのです。

 このカードに対しては、米国は有効な反論材料を持っておらず、論争しても不利であることは明らかです。特に現在は「核なき世界」を目指しているオバマ氏が大統領であるだけに効き目が大きいと言えます。

 最後の段落の「平和と正義の守護神となる」という箇所も宗教的な表現ですが、わが国についてこれぐらいの信念と使命感を持っていなければ、今後予想される中国の軍事的膨張に立ち向かい、これを封じ込めることは不可能でしょう。

 ソ連との冷戦を勝ち抜いたレーガン米大統領も、自国について「わが国は神を戴く国であり、神がわが国を自由の国にした」(第1回就任演説)という宗教的な信念を持っていました。

 宗教政党・幸福実現党は、残念ながら先の参院選で敗れはしましたが、これからの政治の展開は「宗教政党こそが日本にとって必要である」ということを示すものとなるでしょう。

 したがって、安倍氏が今後もし、首相職に耐えかねるようなことがあれば、かつてのように自民党内で政権をたらい回しにすることなく、直ちに解散してわが党に国政参画への道を開くべきなのです。

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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