昨日3日は66回目の憲法記念日でしたが、今夏の参院選では、憲法改正が大きな争点となりそうです。  具体的には、憲法改正手続きとして、衆参各議院の総議員の「3分の2以上の賛成」で改正を発議できると定めている第96条を、「

5/4 第96条を緩和しても憲法改正へのハードルはフランスなみ

 昨日3日は66回目の憲法記念日でしたが、今夏の参院選では、憲法改正が大きな争点となりそうです。

 具体的には、憲法改正手続きとして、衆参各議院の総議員の「3分の2以上の賛成」で改正を発議できると定めている第96条を、「過半数の賛成」で改正を発議できるように改めるというものです。

 自民党や日本維新の会はこれに賛成の方向で、民主党などは反対の姿勢を打ち出しつつあります。公明党は与党の一角を占めているにもかかわらず、改正に難色を示しています。

 日本国憲法は1947年に施行されて以来、一度も改正されたことがありません。他の先進国では憲法制定後に何十回と改正されていることが珍しくなく、60年以上にも亘ってまったく改正がなされないのはやや異常な状態と言えます。

 やはり憲法も、大事な原則は維持しながらも、時代の変化に合わせて必要な改正は積極的に施していくべきです。特に、敗戦後の連合国による軍事占領下で、戦争放棄、戦力不保持を定めた第9条は、時代適合性を失った規定の典型でしょう。

 我が国でただの一度も改正がなされなかったのは、改正手続きのハードルが高すぎたせいだと見ることは十分可能です。

 一方では、「その時の多数派が一時的な勢いで変えてはならない普遍の原理を定めたのが憲法なのであり、改憲には厳格な要件が必要だ。(中略)憲法からチェックを受けるべき一般の法律と憲法を同列に扱うのは、本末転倒と言うべきだろう」(5月3日付毎日新聞社説)という意見もあります。

 しかし、国会の発議要件を「過半数の賛成」に下げても、その後に国民投票が控えているため、改正の難度が、国会の過半数で成立する法律と同じレベルにまで下がるわけではありません。

 実は先進国の中でも、フランスの憲法改正手続きは比較的容易です。上下両院での過半数による議決の後、国民投票を経て承認されるというもので(国民投票の替わりに両院合同会議での5分の3以上の賛成で承認されることもある。また、憲法の別の条項に基づき、国会の議決を経ずに直接国民投票にかけて改正されたこともある)、今回の96条改正成立後の日本と似たようなレベルです。

 「これ(発議要件が過半数の賛成・筆者注)では一般の法改正とほぼ同じように発議でき、権力の歯止めの用をなさない。(中略)憲法の根本的な性格を一変させるおそれがある」(5月3日付朝日新聞社説)という指摘もなされています。

 しかしながら、上記のような手続きを取っているフランスは、憲法改正により「権力の歯止めが効かなくなった」とか「憲法の根本的な性格が一変した」という深刻な事態には陥っていないようなので、杞憂と考えてよいでしょう。

 5月3日付東京新聞社説は冒頭から「憲法改正を叫ぶ勢力の最大目的は、九条を変えることでしょう」と、単刀直入に切り込んでいます。それはまったくその通りで、昨今の北朝鮮の核武装や中国の尖閣侵略を踏まえれば、現行の9条ではもはや我が国の平和と安全を守り切れないのは火を見るより明らかです。

 9条改正反対派からは、北朝鮮や中国に対しては「対話や外交努力によって解決すべきである」といった議論がよくなされますが、そうした外交を成り立たせるためにも、問題の国に対して軍事力で対等もしくは優位な立場に立たなくてはなりません。

 軍事力で劣位な立場に置かれたら、相手からその軍事力によって脅され、あるいは軍事力を現実に行使されて、外交どころではなくなります。

 中国、北朝鮮とも核を使わずとも、通常弾頭のミサイルで我が国を攻撃して、大きなダメージを加えることが可能です。何十発も同時に発射されたら、すべての迎撃は困難で、相当数のミサイルが着弾し、数多くの犠牲者が出ると見られます。

 もちろん、同盟国の米国が助けてくれることにはなっていますが、財政難で以前よりも戦争を避けたくなっている米国がどこまで中朝とのチキンレース(あってはならないが、「想定外」であってもいけない)に耐えられるか、不透明さは拭い切れません。

 もうそろそろ独立主権国家としての大原則に立ち戻り、日本は「自分の国は自分で守る」体制をいち早く整備すべきです。

 そのためには、他国への攻撃能力(弾道ミサイルや巡航ミサイル、爆撃機や空母等)の保有禁止の根拠となっている9条を一日も早く改正し、自らそうした能力を保有して我が国としての抑止力を確立しなくてはなりません。

 その意味で、次の参院選は我が国を中朝の軍事的脅威から守り抜くことができるかどうかの分け目となる戦いになります。憲法改正の必要性について、国民の皆様のご理解を得られますよう、引き続き努力してまいります。

 なお、最近、産経新聞が「国民の憲法」と題して、独自の憲法改正案を発表しました。国防に関する箇所は非常に評価できる内容となっています。しかし、いくつかの点では疑問を感じる部分がないわけではありません。

 特に、現行20条の「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」を改めて、「いかなる宗教団体も、政治に介入し、または政治上の権力を行使してはならない」とした箇所は、幸福実現党のような宗教政党を排除しようとしているように読めなくもありません。

 問題は、してはならないとされる「宗教団体」の「政治」への「介入」とは、具体的に何を指すのか、ということです。

 特定の宗教団体に属する者が政治団体を結成して国会で議席を確保したり、政権に参画したりすることを、宗教団体の政治への介入として禁止するのであれば、それは信教の自由や結社の自由の抑圧であり、法の下の平等の違反であると言わざるを得ません。権利保障の点で、現行憲法よりも後退していることになります。

 この部分については、いずれその意図するところの説明がなされるべきかと思います。

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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