朝鮮半島情勢の緊迫化をどう見るか  国連安保理で7日(日本時間8日未明)、先般3回目の核実験を行った北朝鮮に対し、制裁を強化する決議案が全会一致で採択されました。今回の決議案は事実上、米中主導で作成されたと言われています

3/9 今こそ日本版SDI(戦略防衛構想)に着手しよう~朝鮮半島情勢の緊迫化を受けて~

朝鮮半島情勢の緊迫化をどう見るか

 国連安保理で7日(日本時間8日未明)、先般3回目の核実験を行った北朝鮮に対し、制裁を強化する決議案が全会一致で採択されました。今回の決議案は事実上、米中主導で作成されたと言われています。

 北朝鮮はこうした国連の動きや米韓合同軍事演習に反発し、国連安保理の採決に先立って「侵略国の本拠地への核先制攻撃の権利を行使する」との声明を発表しています。また、既に5日には、朝鮮戦争の休戦協定を11日以降、白紙にするとも宣言しました。

 近く朝鮮人民軍の大規模訓練も行われる見通しで、朝鮮半島の緊張が高まりつつあります。

 北朝鮮の同盟国である中国は、核実験を強く非難する今回の決議案に同意しているほか、朝鮮戦争休戦協定の白紙化に対しても、「協定は朝鮮半島の平和と安定を維持するうえで重要な役割を果たしている」として、強く反発しているようです。

 表面的には、北朝鮮が暴走し、中国すら愛想を尽かしつつあるように見えます。

 確かに、2月末の英紙フィナンシャル・タイムズには、中国共産党中央党校機関紙の編集幹部が「中国は北朝鮮を切り捨てよ」という論説を寄稿しているので、そのような見方も分からないわけではありません。

 しかし、そもそも北朝鮮は中国からの食料やエネルギーの供給がなければ国が成り立たない状態(依存度は7割以上と言われる)で、中国は北朝鮮のいわば生殺与奪の権をしっかり握っています。

 中国を本気で怒らせたら、食料・エネルギーの供給を止められて、北朝鮮の現体制は崩壊してしまうのです。この程度のことが分からないほど、金正恩が愚かであると考えない方がよいでしょう。

 また、中国からすれば、いつでも北朝鮮を「物資の供給をストップするぞ」と脅して、その“暴走”を止めようとすれば止められるのに、それをあえてしないでいるのは、結局“暴走”を容認していると理解すべきです。

 要するに、「暴走する北朝鮮」、これに対して「自制を促すも無視されて怒る中国」という図式は、まったくの茶番に過ぎません。習近平総書記は昨年、日本政府の尖閣国有化を「茶番」と評しましたが、こちらの方こそ国際社会に向けた中朝2カ国合作による正真正銘の茶番です。

 そして、この茶番の最終的な狙いは、中朝主導の半島統一だと思われます。

 つまり、北朝鮮が積極的な悪役を担い、中国がよりまともな仲介者を演じることで、悪しき北朝鮮を抑えるためには、力で押さえ込むことしかできない米国に頼るより、中国に話をつけてもらった方がよいのではないかと、韓国が考えるように至らしめるわけです。

 中国が北朝鮮と同調せず、表面的には非難する立場に立っているのも、韓国(あるいは米国も含む)からの信頼をかち得るためと見られます。そうして、韓国が米国を離れて、中国に付くようになれば、金王朝を温存した形での半島統一はさほど難しくはないでしょう。

 

日本版SDIに着手しよう

 前回の記事でも書いた通り、韓国の中国勢力圏への吸収という最悪の事態に備えるためにも、そしてもちろん、中朝による核の恫喝に備えるためにも、日本の防衛力強化は喫緊の課題です。

 そのためには我が国として核武装することがが最も効果的であるのは論を俟ちません。しかしながら、核武装を支持する世論を大きく形成するにはまだ時間がかかるでしょう。

 そうこうしているうちに北朝鮮の核兵器能力が質量とも強化され、中国も核戦力を含めての軍拡をいっそう加速させ、一方で米国は財政難で米軍の海外展開を縮小という流れが本格化すれば、もはや日本は手遅れになってしまうかもしれません。

 安倍晋三首相は2月12日の国会答弁で「敵基地攻撃能力の保有の検討」に前向きの姿勢を示しましたが、憲法の現行解釈においてもその能力の保有は禁止されないとしているのですから、早急に能力保有を進めるべきです。

 手っ取り早いのは米国からトマホーク等の巡航ミサイルを大量購入して、いつでも敵基地を叩けるように配備することでしょう。ただ、巡航ミサイルでは速度が遅いため、併せて、現在開発中のイプシロンロケットをベースに、速度の速い弾道ミサイルの開発も進めるべきです。

 さらに申し上げたいのは、宇宙における防衛網の開発・整備です。

 幸福実現党は既に昨年12月の衆院選時の政策集で「早期警戒衛星の打ち上げ等、宇宙からの防衛網も充実させます」と掲げていますが、北朝鮮の核の脅威が現実のものとなりつつある今、それらを無力化する宇宙防衛兵器の開発にいち早く着手し、推進すべきです。

 日本は民生用のレーザー技術では世界のトップクラスに位置しています。その技術を防衛用途にも展開していけば、いずれは米国をも凌駕するものが出来上がるかもしれません。

 理想としては、北朝鮮や中国が核ミサイルの発射準備に入った段階で、それらの位置を素早く探知して、宇宙からのレーザービームで短時間のうちに破壊し尽くすことができるようにしたいものです。そうなれば、日本の抑止力は格段に向上します。

 1980年代の記憶がある方は、当時のレーガン米大統領が打ち上げた「SDI(戦略防衛構想)」、いわゆるスター・ウォーズ計画を覚えておられることでしょう。

 ソ連から飛んでくる大陸間弾道ミサイルを人工衛星等からのミサイルやレーザービームによって迎撃しようとする防衛計画で、当初より実現は難しいとはされていたものの、ソ連がこの計画にキャッチアップする国力を持たなかったため、米国の外交カードとしては立派に機能しました。米ソ間の軍縮や冷戦終結、ひいてはソ連崩壊にまでつながったとされます。

 中朝の核の脅威にさらされている我が国としては、即時の抑止力整備という意味では核武装が望ましいですが、世論が受け入れるまで時間がかかる可能性があります。であるならば、核兵器よりは世論の理解を得やすい日本版SDIの研究開発に今こそ取り組むべきです。

 もとより開発は簡単ではないでしょうが、それでも努力して技術的なイノベーションに成功すれば、ひょっとして、核武装を容認する世論が出来上がるよりも先に、SDIが何らかの形で実現できるかもしれません。

 また、「天軍(宇宙軍)」を編成して米国の軍事衛星等への攻撃能力を確立し、宇宙空間の制空権を握ろうとしている中国を牽制することにもなります。というより、我が国が本気で取り組めば、遠からず中国の水準を追い抜くことは十分可能でしょう。

 戦後長らく日本の宇宙開発は非軍事目的に制限されてきましたが、それも2008年に成立した宇宙基本法で緩和され、その第3条では「宇宙開発利用は(中略)我が国の安全保障に資するよう行われなければならない」と明記されています。

 米露中に比べて遅れをとっている我が国の宇宙開発ですが、こうした法律上の裏付けもあるのですから、国防強化を大義名分にそろそろ本腰を入れて推進すべきです。

 既に、東アジアは日本を含め、熱い戦争の一歩手前の冷戦に突入しているという現状認識があれば、戦争を戦い抜くためには、一時的な財政悪化は甘受してでも、必要な措置や対策は取っていかなくてはならないというのはごく当たり前の話でしょう。

 アベノミクスの第二の矢とされる「機動的な財政政策」は、単に既存インフラの修繕で終わってよいものではなく、日本の未来を開くものに積極的に投資していかなくてはなりません。日本版SDIは、我が国の安全保障に資すると共に、防衛・宇宙産業の進化・発展を通じて、日本経済に新しい未来をもたらすものでもあるのです。

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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