書評の第二弾として、近時ベストセラーになっている『国家の命運』(薮中三十二著 新潮新書)についての雑感を記したいと思います。 今年の夏まで外務事務次官を務めていた薮中氏が著した本書は、外交現場での体験談がふんだんに盛り込

12/22 書評『国家の命運』(その一)

書評の第二弾として、近時ベストセラーになっている『国家の命運』(薮中三十二著 新潮新書)についての雑感を記したいと思います。

今年の夏まで外務事務次官を務めていた薮中氏が著した本書は、外交現場での体験談がふんだんに盛り込まれており、興味深い内容となっています。戦後の日本外交のあり方や、現在の日本が直面している課題についても、数々の参考になる意見が述べられています。

まず、共感を感じたのは、日本の外交が「外圧待ち」ともいうべき受け身の姿勢となっている要因を分析する中で、次のように述べた箇所です。

「日本は、(世界第二位の経済大国となって)追いつくべき相手に追いついてしまうと、次なる目標がみえなくなった。そこで自らに戸惑いが生まれた。新たな目標を立て、自分自身で世界を切り拓いていくような構想も発想も生み出せなかったし、時代の変化に対応して、自ら日本を改革するという動きも出てこなかったのである。」

的を射た見解というべきでしょう。国際社会の中で日本は、いまだその経済力に見合ったリーダーシップを発揮することなく、主体性を持った外交を展開することができずにいます。経済成長の面でも1990年代以降、低迷が続いています。

結局、国家としての目標やビジョンが持てないがゆえに、外交面では主体的に動くことができず、経済面でも十分に力を伸ばすことができないでいるのです。その時、その国に相応しい目標やビジョンを提示するのが政治家の役目なのですが、経済力がピークを迎えた「バブル経済」以後、日本の政治家でこれに成功した人はまだいません。

「欧米に追いつく」とか「経済的に豊かになる」という目標なら、ある意味深い考えを持たずに追求することが可能でしょう。しかし、そのレベルを越えて世界のトップに躍り出るということになれば、世界をリードすることについての責任を持たねばならず、それに耐えうるだけの思想や哲学を自らの内に持たなければなりません。

現在のナンバーワン国家であるアメリカでは、キリスト教に根差した人権思想や民主主義思想を背景にして、国家目標や国家戦略が立てられています。例えば、自由主義・民主主義を世界に広めようとするネオコンの考え方は、前ブッシュ政権下で大きな影響力を持ち、その良し悪しは別にして、イラク戦争遂行の原動力にもなりました。

日本が今後、様々な逆境を跳ね返し、さらなる繁栄を目指すのであれば、世界に対して発信できる思想や哲学を固め、これに基づいてビジョンや目標を設定するという取り組みが必要です。そして、それが可能な唯一の日本の政党こそ、幸福実現党であると考えます。

(つづく)
立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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