先般の沖縄県知事選挙につきましては、ご支援、ご協力いただきました党員、支持者、関係者の皆様に、心より感謝御礼申し上げます。誠に有り難うございました。残念な結果に終わりましたが、緊迫する国際情勢の中で、国民(県民)の皆様の

12/6 書評『公共事業が日本を救う』

先般の沖縄県知事選挙につきましては、ご支援、ご協力いただきました党員、支持者、関係者の皆様に、心より感謝御礼申し上げます。誠に有り難うございました。残念な結果に終わりましたが、緊迫する国際情勢の中で、国民(県民)の皆様の生命・安全・財産をしっかり守るために必要な政策を引き続き訴えてまいりたいと考えております。

さて、以下では、最近読んだ『公共事業が日本を救う』(藤井聡著 文春新書)という本について雑感を述べさせていただきます。

タイトルから判るとおり、鳩山前首相が掲げた「コンクリートから人へ」という理念を真正面から反駁している力作で、興味深い論点が満載です。

近年、「もうこれ以上道路は要らない」「ダムは不要だ」といった議論がマスコミや世間をにぎわしてきました。「コンクリートから人へ」の前提となっている、そのような一方的な公共事業悪玉論の間違いをデータに基づいて指摘しています。特に道路については、「造り過ぎている」という議論の根拠となっているデータに意図的な操作があることを冒頭の章で明らかにしています。この部分だけでも十分に一読の価値があります。

政権交代後の政策変更の象徴となった「八ッ場ダム」についても、マスコミ報道では「現場の住民は××と言っている」「政治家は○○と言っている」等、表面的な議論に終始し、それだけでは必要なのか不要なのか判断しかねるものがありましたが、この書は、そもそもダムの問題を論ずるのに必要な「利水」「治水」に関する知識から説き起こしてくれています。これをベースに、八ッ場ダムに見込まれている利水・治水上の効果を考え合わせれば、同ダムが必要であり、最後まで完成させるべきであることは、ごくごく当たり前に理解できます。

さらに、この二、三十年で国際的な地位が大幅に低落している日本の貿易港についても、興味深いことが述べられています。日本の港湾がシンガポールや中国、韓国等の港にコンテナ取扱量で何倍もの差をつけられてしまったのは、船の大型化に対応した港の大型化をしてこなかったからだと。他国は国家プロジェクトで港の大型化を進めたのに対し、わが国では港湾の管轄権限が神戸市や横浜市といった地方自治体に任されているため、大型化を進めることができませんでした。国全体の経済に関わる港湾整備の問題が、地域住民の利害を第一に考えなければならない地方自治体に委ねられているがゆえに、必要な投資がなされず国際競争力を失ってしまっているのです。近時、「地域主権」にすれば全てがバラ色になるかの如き議論もなされていますが、一国としての繁栄を考えれば、むしろ中央集権を進めなければいけない分野もあるということです。

このほか、高速道路を含む「高速交通ネットワーク」と国力、経済力との関係にも言及されており、この点についても、かねてよりリニア新幹線や高速道路網等の整備で「交通革命」を起こすことを主張しているわが党の方向性とほぼ一致しているといえます。

一点だけ異論を述べるとするならば、現在の日本では金融政策ではデフレ退治ができないとしている点です。その理由としては、日本はゼロ金利政策を採用しているので、これ以上金利を下げることができないから、ということですが、現実には、日銀が市場にマネーを供給する手段は金融機関の保有する国債を買い取ること(買いオペレーション)が中心となっており、短期金利はその結果として操作されているというべき状況です。つまり、金利がゼロになっても日銀が金融機関から国債を買い取り続ければ、市場にさらなるマネーを供給することは可能なので、その意味で金融政策はデフレ退治に効果があり、むしろ必要不可欠であるといえます。

おそらく、公共事業への大規模な財政出動をデフレ脱却のためと正当化するに当たって、「いやデフレ脱却は金融政策でできるのだ」という反論を排除したかったのでしょうが、実のところ、デフレ脱却には金融政策と財政政策の両方が必要です。もっとも手っ取り早いのが、デフレ・ギャップ分だけ国債を発行して日銀に直接引き受けさせるというもので、これなら財政出動による需要創出とマネー供給が同時にできて、かつデフレも即解消します。

いずれにせよ、巷間に跋扈する誤解に満ちた公共事業不要論を押しのけて、公共事業を拡大しなければ、今後わが国を待ち構えているのは経済力の衰退であり、社会生活の劣化であるというのがよく分かる本であり、ではどのような公共事業が必要なのかということまでがよく示された良書といえます。

立木 秀学
(ついきしゅうがく)
東京大学 法学部 第3類(政治コース)卒業後、幸福の科学入局。財務局長、専務理事などを歴任し、幸福実現党に入党。2010年7月から2012年12月まで幸福実現党党首を務める。
現在、HS政経塾塾長。
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